準天頂衛星が起こす国内農業への「みちびき」
昨日、H3ロケットの打ち上げが成功しました。
本年6月の「みちびき6号機」の打上げに続く、連続での成功となります。
H3ロケットは、日本の宇宙活動の自立性確保と国際競争力強化のために極めて重要な基幹ロケットです。 今回の「みちびき7号機」は、我が国の準天頂衛星システムの一部として、現在運用中の5機と合わせ、国内外に正しい位置・時刻の情報を提供していく日本版GPSです。
今後は、他国の測位衛星がなくても、みちびきのみで測位が可能となる「7機体制」を早期に構築し、さらに、7機のうち、どの1機が故障しても測位機能を維持できる「11機体制」に向けた開発を加速していくとしています。
位置誤差「数センチ」へ。日本の精密農業を支える基盤
私が注目しているのは、日本の農業への貢献です。
日常のスマホGPSには数メートルの誤差があり、隣の苗との間隔が繊細な日本の現場では使いものになりません。
これを解決するのが「みちびき」で、補強サービス「CLAS(シーラス)」は、誤差をわずか「数センチメートル」に抑え込む精度としています。
狭くいびつな農地が多い日本において、農機の正確な自動走行やドローンのピンポイント施肥に不可欠なインフラとなっています。
高精度測位が拓く、現場の最新イノベーション事例
みちびきの高精度な位置情報は、先進的な現場で成果を上げています。
- 自動除草ロボット「ミズニゴール」(ハタケホットケ社)
「イチBizアワード2024」最優秀賞を受賞。CLAS(シーラス)を活用して水田を自動走行し、泥を巻き上げて雑草の繁殖を防ぐ重労働を完全自動化しました。 - 物理的な柵をなくす「仮想柵」(滋賀県立大学)
牛にみちびき対応(GPS付き)首輪を装着し、設定した境界線に近づくと音や微弱電流で制御します。すなわち、実際のフェンスを使用せずに、家畜の収容・移動を行うシステムで、柵の設置コストを削り、耕作放棄地の活用や鳥獣被害対策として期待されています。
防災とセキュリティを兼ね備えた社会インフラ
みちびきの役割は測位にとどまりません。地上の基地局が被災した際も衛星から直接緊急情報を届ける「災危通報」や、偽信号による誤作動を防ぐ「信号認証サービス」など、自動化農機やドローンを安全に運用するための土台も備えています。
今回の打ち上げ成功により、持続可能な農業と高度な社会インフラを支える「みちびき」の進化は、また一歩確かなものとなりました。
宇宙からの数センチ単位の精度が、日本固有の産業に静かな革命を起こしています。


