地球温暖化で今年の稲作はどう変わる?
最近、農業関係者の方と話す機会があって感じるのですが、今年の稲作について「かなり気を使う年になりそうだ」という声を耳にします。
一方で、消費者の立場から見ると、現時点では「お米が極端に高い」という実感は、昨年ほど強くないかもしれません。
しかし、生産現場ではすでに、
- 猛暑への警戒
- 水管理の難しさ
- 肥料や資材価格
- 異常気象への対応
など、これまで以上に神経を使う状況が始まっています。
田植えの時期は、毎年同じように見えて、実は“その年の気候との対話”でもあります。
そして今、その対話の前提が大きく変わり始めています。
その背景には、単なる物価上昇だけではなく、地球温暖化による農業環境の変化があります。
特に今年は、春先から気温が高く、農業関係者の間でも「今年の夏はかなり厳しいのではないか」という声が多く聞かれます。
日本人にとって、お米は単なる商品ではありません。
毎日の食卓を支える、日本の文化そのものなので、神奈川県の水稲を今一度考えてみます。
稲は「暑さ」に強そうで、実は弱い
田んぼを見ると、稲は真夏の太陽の下でも元気に育っているように見えます。
しかし実際には、稲は高温にとても敏感な作物です。
特に問題になるのが、出穂(しゅっすい)から登熟(とうじゅく)の時期の高温です。
昼間だけでなく、夜の気温が下がらない状態が続くと、米粒が白く濁る「白未熟粒」が増え、品質低下につながります。
さらに最近は、
- 線状降水帯による豪雨
- 水不足
- 台風の大型化
- 病害虫の変化
など、従来の経験だけでは対応しにくい状況も増えてきました。
農業は自然と向き合う仕事ですが、その“自然そのもの”が大きく変わり始めているのです。
このため、神奈川県内では暑さに強いとされる水稲品種で「はるみ」「キヌヒカリ」「てんこもり」が主に栽培されていますが、
昨年11月、新たに「にじのきらめき」が奨励品種に選定されています。(神奈川県公表資料より)
今年の稲作で心配されていること
2026年は、春先から全国的に気温が高めに推移しています。
農家の皆さんは、田植えのタイミング、水管理、肥料設計などを例年以上に慎重に見ています。
特に稲作では「水」が命です。
猛暑時には、水温の上昇を抑えるために、田んぼへ水を入れ続ける必要があります。
一方で、豪雨が来れば排水対応も必要になります。
つまり今の農業は、「水を入れるか」「水を抜くか」を、気象状況を見ながら細かく判断し続ける時代になっています。
これは想像以上に高度な仕事です。
スマート農業は“楽をする技術”だけではない
私は現在、スマート農業に関わる活動をしていますが、最近強く感じることがあります。
それは、スマート農業とは単なる省力化ではない、ということです。
もちろん、人手不足対策としての役割は大きいですが、本質は「経験をデータで支える」ことにあると思っています。
例えば、
- 水位センサー
- 気象データ
- ドローン
- AI分析
- 自動給水
などの技術は、異常気象時代の農業を支える重要なインフラになりつつあります。
これまで農業は、熟練者の経験と勘によって支えられてきました。
しかし、気候そのものが変わる時代には、「過去の経験だけでは読めない」場面が増えていきます。
だからこそ今、農業者の知恵とテクノロジーをどう結びつけるかが重要になっています。
食卓と農業はつながっている
地球温暖化は、遠い国の話ではありません。
毎日の食卓のお米にも、すでに影響は現れ始めています。
農家さんの努力だけで、この環境変化を乗り切ることは難しいかもしれません。
だからこそ私たち消費者も、
- 国産農業への理解
- 適正価格への意識
- フードロス削減
- 地域農業への関心
を持つことが大切だと思います。
今年の稲作は、日本農業の未来を考える大切な一年になるかもしれません。
そして私は、農業者の「想い」に寄り添いながら、テクノロジーで未来への架け橋をつくる取り組みに、
これからも関わっていきたいと思っています。


