世界秩序が変わるとき
何気なく書店で、目にした齋藤ジン著の本タイトルに興味が惹かれ、一気に読んでしまいました。サブタイトルは、”新自由主義からのゲームチェンジ”で、2024年12月頃に執筆しています。トランスジェンダーの著者は1993年単身で渡米し、金融の最前線で30年近く世界マネーを見てきた人物で、 「今は数十年に一度のゲームチェンジ期であり、日本にとって最大のチャンス」と断言しています。
2024年11月にトランプ2.0が始まりましたが、上手くいけば、機能不全に陥ったシステムを変革してくれる、そうでなくても、少なくとも信認を失ったシステムを壊してくれる、それが米国有権者の期待した選択であり、世界はアメリカを地殻変動の震源地とする「大転換」のただ中にあるという見方は説得力があります。そして、なぜ日本だけが30年間も停滞したのかも十分に解説しています。著者は、世界が新自由主義という「弱肉強食」のルールに移行する中、日本が雇用を守るために「悲惨の平等な分配」(雇用維持)を選んだ結果だと指摘します。表現が面白いのですが、アメリカに「勝てないテーブル」に座らされた日本の苦闘が描かれています。
現在の地勢リスクは、対イランに注がれていますし、ホルムズ海峡の行方はもちろん気がかりですが、私はこの後5月14日~15日にトランプ大統領が中国訪問を控えており、大変気になっています。この本の中でも触れていますが、元々米国は中国を楽観視していましたが、アメリカを脅かす存在となったことで、今やアメリカのターゲットは「中国外し」へ向かっています。サプライチェーンの再構築(デカップリング)により、中国への投資マネーが引き揚げられている現状を鋭く分析しています。
かつてソ連と米国の冷戦が終わり、「大きな政府」から振り子は古典的な「小さな政府」に戻したのが新自由主義ですが、振り子は再び「大きな政府」の方向に振れています。米中対立は不可逆で、日本は再び“勝てる席”に戻りつつあります。著者は、 「この変化を理解し、備えた者だけが次の30年を勝ち抜く」 と読者に強く訴えています。


