世界産業のOS

米国・イランの戦争停戦で事態終結の期待が高まる中で、先週は米国NASA主導「アルテミス計画」の有人宇宙船(米国とカナダの飛行士4人)が月の裏側を飛行し、地球に無事帰還しました。有人月周回は、アポロ計画で最後の月面着陸だった1972年12月のアポロ17号以来、実に53年ぶりで、人類到達の最遠方記録を更新する歴史的な一歩となりました。米航空宇宙局(NASA)は2028年には有人月面着陸を目指した後、日本人が月面着陸することで日米が合意済みと言われています。月面基地建設に注力し、上空の周回基地建設を休止するとの、大幅な計画変更を発表しています。

一方、中国は近年、月の裏側からサンプルを採取して地球に持ち帰った最初の国となるなど、目覚ましい進歩を遂げています。中国にとって月面着陸は、宇宙における優位性を確立するための不可欠な一歩で、米国と中国は、人類が月面に恒久的な拠点を築く未来に備え、制度構築の取り組みにおいても競い合っており、米国主導のアルテミス協定による月探査計画は、中国とロシアが主導する国際月面研究ステーション(ILRS)と競合しています。

米国時間の14日には、Amazonが、衛星事業者のGlobalstar(グローバルスター)を買収すると発表しました。Amazonは、低軌道衛星ネットワークAmazon Leo(旧称:Project Kuiper)を目指し、2025年4月に27基の衛星を打ち上げて本格配備を開始し、今年最初の打ち上げを2月に成功させています。衛星通信ネットワークAmazon Leoに、スマートフォンへのDirect-to-Device(D2D)サービスを追加し、地上ネットワークの届かない場所にも通信のカバー範囲を拡大していく戦略です。コンステレーションは2027年までに合計で3,000基以上で構成される予定で、イーロンマスク氏率いる「スターリンク」(6,000基以上)の独壇場の対抗軸が前進しています。

このように考えると、人工衛星は、通信・位置情報・地球観測のみならず、防災・農業・物流・スマートシティ・国家というあらゆる産業の上に乗るアプリケーションを支える存在になっていて、地球規模産業のOSになっています。
UCS(Union of Concerned Scientists)の衛星データベースやESAの宇宙環境レポートによると、稼働中の人工衛星は約14,200機に達し、追跡可能な物体を含めると約44,870個以上が地球を周回しています。地球全体を俯瞰で掌握できる宇宙空間においても激しさを増す覇権争いが進んでいます。

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